毎月やっている2つの作業
GBP運用の支援で、月次でやっていることは大きく2つです。
- ヒアリングシートを作る:翌月の投稿計画を立て、オーナー様に確認したいことを質問としてまとめる
- 回答をまとめる:返ってきた回答をもとに、投稿スケジュールを確定させる
この2つを、毎月繰り返しています。
なぜツールにしようと思ったか
作業自体は、それほど時間がかかりません。慣れているので、手を動かせば終わります。
でも、あるとき気づきました。
毎月、同じ判断を頭の中で繰り返している。
- この月はどんなテーマが使えるか
- 記念日と定休日は重なっていないか
- この表現は使ってよかったか、避けるべきだったか
- 質問は何問までなら負担にならないか
これらは全部、私の頭の中にしかありませんでした。
以前、「担当者が変わると止まる」企業の公式SNS運用という記事を書きました。 判断基準を残さなければ、人が変わった時点で運用は止まる、という内容です。
まさに自分がその状態でした。
「判断基準を残しましょう」と書いておきながら、自分の運用は頭の中で回している。それが気になっていました。
作ったもの
生成AI(Claude Code)の「スキル」という仕組みを使いました。 特定のフォルダで作業するときだけ読み込まれる、専用の手順書のようなものです。
2つのモード
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作成モード
「来月のヒアリングシートを作って」と伝えると、投稿計画と週ごとの質問を組み立て、Word形式のファイルまで出力します。
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まとめモード
オーナー様の回答を貼り付けて「まとめて」と伝えると、内容を確認したうえで、改訂後のスケジュールと運用のTODOを整理します。
中身は、こういう構成です。
- クライアント情報:基本情報、料金、訴求できる強み、使わない表現の一覧
- 年間カレンダー:月ごとに使えるテーマ、投稿の組み方、確認すべき注意点
- 雛形:作成モードとまとめモード、それぞれの型
いちばん時間をかけたのは、ルールの言語化
ツールを作る作業自体は、驚くほど速く進みました。
時間がかかったのは、「自分が毎月どう判断しているか」を言葉にすることでした。
そして、その材料になったのは過去にヒヤリとした場面でした。
① 使わない表現が、選択肢に紛れ込んだことがあった
質問の選択肢を作るとき、クライアント様が普段使わない言い回しが混ざってしまったことがありました。
対策:本文だけでなく、選択肢の文言まで含めて、使わない表現の一覧と全文照合する。
② 記念日が定休日と重なっていた
記念日に合わせた投稿を計画したものの、その日が定休日だったことがありました。
対策:記念日を使うときは、必ず営業日かどうかを確認する。
③ 地域の行事と営業日が食い違っていた
地域のイベントに合わせた投稿を考えたら、店舗はその日お休みだったということがありました。
対策:イベント日程と営業日を照合し、「店舗は休み、会場で対応」という書き方に切り替える。
④ 満席なのに予約を促していた
予約がほぼ埋まっている時期に、予約を促す投稿を予定していたことがありました。
対策:満席の申告があったら、予約促進の文言をすべて削除し、御礼と告知に切り替える。
こうして並べてみると、どれも「一度やってしまったこと」です。
そのときは気づいて直しました。でも、直したことは私の記憶の中にしか残っていませんでした。
それをルールとして書き出したのが、
今回の作業の中心でした。
方針も、仕組みに入れた
失敗からのルールだけではありません。この運用で大切にしている方針も入れました。
質問は1週につき1問、選択式にする
オーナー様は日々の業務でお忙しい方です。白紙に書き出してもらうのは負担が大きい。 選ぶだけなら、数分で終わります。
自由記述は、要約せずに原文のまま残す
オーナー様が書いてくださった言葉は、そのまま投稿の説得力になります。 こちらで要約してしまうと、その温度が失われます。
クライアント情報は、確認のうえ日付付きで新版を作る
勝手に書き換えず、過去の版を履歴として残すためです。
AIが作ったのは「箱」、中身は運用の知識
できあがったものを見て、はっきり感じたことがあります。
AIが作ったのは、動く仕組みの部分だけです。
- どんなテーマを扱うか
- どの表現を避けるか
- 質問を何問にするか
- 何を確認すれば事故が防げるか
これらは全部、実際に運用してきたから分かることでした。AIには判断できません。
逆に言えば、運用の経験がある人ほど、AIで作るツールの精度が上がるということでもあります。
実際に翌月分のシートを試しに生成してみたところ、その月の曜日の並びを踏まえた日程調整、 祝日の連休の活用、口コミで何度も言及されているのにまだ発信していなかった要素の投入まで、自動で組めていました。
もちろん、そのまま使うわけではありません。私が確認して、直します。 そこは変わりません。
ただ、ゼロから考える時間はなくなりました。
よくある質問
- Q. AIで業務効率化を始めるとき、何から手をつければよいですか? 新しいツールを探す前に、その業務で「自分が何をどう判断しているか」を書き出すことをおすすめします。判断基準が言葉になっていない状態では、AIに任せる範囲を決められません。書き出す作業そのものが、属人化の解消にもなります。
- Q. AIに業務を任せると、品質は下がりませんか? 任せる範囲によります。今回AIが担ったのは手順を実行する部分だけで、どんなテーマを扱うか、どの表現を避けるかといった判断基準は、実務の経験にもとづいて人が定義しました。出力後の確認も人が行っています。
- Q. どんな業務がツール化に向いていますか? 毎月・毎週など繰り返し発生し、判断の型がある程度決まっている業務が向いています。逆に、毎回条件が大きく変わる業務や、その場の対話が中心となる業務は、無理に仕組み化しないほうがよい場合もあります。
まとめ|業務効率化とは、判断基準を言語化すること
「AIで業務効率化」と聞くと、作業を丸ごと任せることを想像するかもしれません。
でも今回やったことは、少し違いました。
自分が無意識にやっていた判断を、
言葉にして残した。
その結果として、作業が速くなった。順番はこちらでした。
だから、こう思っています。
AIを入れる前に、「自分は何をどう判断しているのか」を書き出してみる。
それができれば、ツールは後からいくらでも作れます。そして書き出す作業そのものが、属人化の解消にもなります。
私の場合は、過去の失敗が、いちばん良い材料でした。